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私自身、MTB購入当初は全く山道(トレイル)がどこにあるか。走れば実際どのくらい大変なのか、想像もつかなかった。そこでハイキングガイドを買っては、低い山からルートを探り辿っていく。しかしハイカーの邪魔になったり、登る割には下りが短いと、エキサイティングには程遠い走り方だった。試行錯誤で駆け巡った私たち仲間なりのトレール探しの術・山走りの心得をご参考あれ。
■MTB用山道なんてないのだから、しょうがないと思いながらも、エクストリーム・ムービーで見るような快走がしたいと、懲りずにあちこち行っては探求に。
■場数を増やすことそれ事体は、野生の感を養うのに効果だったが、もっと良い道があるだろと思い、常設コースにも幾度と行ったが、自分は飽きっぽいので同じ所を何度も走れないことが分かりだした。
■しだいに国土地理院地図で実際走ったシーン状況や等高線遷移を復習するうち、首都圏(東京・埼玉)の山道は西高東低となり、東または南に下れることが多いと理解した。
■実際の探索では尾根側より谷で迷う方が気温差もハッキリ違い、恐怖を感じた。ようやく回りの生態系の違いを感じることも楽しみになった。今から比べればこの次点でもピクニックだったようだ。
■ハイカー・MTBの個人サイトを探り出し、「ほうほう、なるほど」などと分かった気になり、同じように走ってもまだ満足行く山に行けなかった。
■そうするうちに山仲間も増え、カシミールなど当時ではハイテクアプリを知り、飛躍的にルート決定がはかどる。ヘリコプターで山上空を偵察するようにルートを確定することが可能となった。
【トレイル確定の基本】
■[ハイカー&MTBサイト/山ガイド]等を基本情報とする。
■仮想道程の標高遷移/険しさをカシミールで確認する。3D-CG化して実際の山稜写真と比較することも効果。
■始点から終点までの行程確認ポイント[三角点/大鉄塔/避難小屋/峠道]を確認決定する。
■連山縦走時には主には主脈尾根を走行するが、支尾根に迷わぬように。それらの多くは荒廃している。
■地形図で注意を払うポイントとして、等高線での尾根と谷を間違えず、少しでも不安があれば、遭遇したハイカー・地元の人から情報を必ず聞くこと。里への最短回避路を確認しておくこと。
【補充拠点はあるか】
■飲食の買い足しや十分に休息できるポイントはあるか/道中の水場はあるか
【ハイカーに迷惑をかけない心がけ】
■寂れたコース/歩くにしては長い/駅からの地の利便が悪い/観光名所がない/等の条件でルートを探せば。対人トラブルが防げる。
【行程を安全に走れるために】
■砕石場・住宅・ゴルフ開発など荒れ地や工事現場がないか確かめる。
■メイン道をそれて回避する道はあるか。
■救急病院の所在も把握する。(保険証必携)
【山の天候について】
■季節によって不安定な状況の場合は当日朝の予報まで決行待つこと。
■雲の多くは山上で発生する。現地梺でピーク付近の雲行きを確認しよう。
■曇りのち晴はまだよいが、晴のち曇りは注意。曇ったら雨になる確率の方が多い。
■気温は1000m上がるごとに5度も下がる。冬よりもなめがちな初春・晩秋に服装気をつけること。冬期は夕刻に冷え込むのが早い。早い出発→早いゴールを心掛けよう。
【山に着いたら上空観察すべし】
■山に着いたら天気を予想する材料は現状の観測が重要。予報だけをうのみにするのではなく、実際に見て確認しまた先を予測していくようにしたい。予報というのはあくまでも平地でのことと思うべきである。
【雲の形で観測する】
■雲は観天望気の格好の材料である。雲の種類は多く、呼名も専門的なものから様々で覚えにくいが、ここでは重要な雲を頻用される名称で紹介。
◆1.積乱雲(雨雲)
/背高い場合上空に寒気あり。
◆2.乱層雲(雨雲)/低空で雲に厚みがあり、黒っぽい弱い前線がある。
◆3.積雲/等しい高さに点在し水蒸気が入っているが、大気は比較的安定している。
◆4.巻雲/上空を南から北に動く低気圧が接近している。
◆5.レンズ雲/段重なっていることもある。風上の稜線は強風地帯である悪天の前兆。
◆6.ヒコーキ雲/形がすぐ崩れていく場合は大気が不安定である。
◆7.雲海/逆転層ができて大気安定している。
【行動場所によって気象は違う】
山は地形複雑であるから地形が気象に影響を与え、注意が必要になってくる。
◆1.山麓
標高1000m以下では天気予報の当該予報に沿う。山麓より上の天気の方が良いということも逆転層の関係で起こり得る。これを読み切るには雲の高さを知ることがカギとなる。低雲で下界が悪天になるパターンもある。
◆2.尾根筋(樹林帯)
樹林帯では風が吹き込まず安心であるが、空が見えず雲動向が判りにくいので、樹林帯を抜けるときは雨であることもよくあること。また悪天の場合、尾根筋では落雷リスクもあるので、雷鳴を聞いたら要注意である。
◆3.谷
落雷危険は比較的少ないが、水は電気を通すので感電する可能性もあるから注意が必要である。とにかく注意すべきは雨である。沢などではいきなり鉄砲水が出たり、枯沢がいきなり川となったり、橋が流される場合もある。また地盤が緩むので谷沿いの登山道も注意が必要なのである。
◆4.森林限界上
下方に雲海を見て快晴稜線を走るのは格別である。しかしそれと引き換えにいったん天候が崩れると、風雨は下層よりも強く、その状況では体感温度がかなり下がる。霧の場合は一面に広がり、ほとんど雲の中にいると思うべし。一番の脅威は落雷で防御のしようがほとんど無い。雨期・冬期には行かないことです。
【山岳自転車道の心得】
『人の真の能力は冷静を極めた時でこそ発揮できる。山走では常に走行ラインの選択と通過確認の連続である。
自信過剰で注意散漫な時に災い来たり、怪我を負う』ようやく山修行の知恵が身に付いてきたかと自覚します。
山開拓の苦・楽は紙一重であり、全ては判断次第の成果。これだけは絶対の山知識を皆様のお役に立てばと、
山走教典として公布いたし候。
◆1.注意力
道程において看板・障害など認識・識別できること。見流した場合、引き返してでも確認すること。
◆2.短期決断力
多岐な道筋がどの方面に向かうか分別し、基点の目印になる物を即時判断材料とする。
◆3.名称表記の記憶
目につくもの、印象に残るもの。その位置合わせ、地名表記など名称を反復し憶える。
◆4. 気候判断力
季節ごとの日照時間に応じた、余裕あるコース設定。予報のみあてにせず雲・霧は山上で発生すること忘れず。
◆5.状況創造力
風・水・下界の音/景色/植物体系の変りかたで今の位置状態から先の状況を想定していく。
◆6.不安因子排除力
空想的・見たまま安易の判断を改め正解を一つと思わず、思い込みを取り除き、危機回避・代案遂行する力。
◆7.運動配分能力
実走距離<対>行動時間における、気力・体力ペース配分を考えていく自己管理能力。
【MTBのための登山用語】
ハイカーさんに道を聞いたり、ガイドブックを解読するためには、ある程度登山用語を知っておくと山知識の理解が深いと思います。山で使われている用語は、英・仏・独・日と混ざり、辞書を見てもわかりません。山走ではこれだけ覚えれば十分だろうというレベルで用語掲載しておきます。
あ
鞍部(あんぶ)
山と山を結ぶ尾根が一番低くなっているところ。「コル」
ウインドクラスト
風上側の斜面で新雪が強風に飛ばされ、低温で表面が氷化した積雪のこと。
右岸・左岸
沢の下流に向かって右側を右岸、左側を左岸といい、地学用語です。
馬の背
細い尾根こと。「やせ尾根」
おろく
登山隠語で、遭難死体のこと。
か
カール
沢の谷頭部にある椀状の地形で、平らで雪渓が残るようなところ。
ガス
濃霧、霧のこと。
釜
滝壺のこと。
ガレ場
沢状の地形で岩、小石が崩れころがっている斜面をいう。
カラミ
荷物を持たないこと。
カンテ
岩壁の中で尾根状の部分をいう。
キレット(切処)
落差が大きい岩盤状の鞍部をいう。
クラスト
風や太陽、雨などの影響で、表面が硬く氷化した積雪のこと。「もなか状態」
クレバス
氷河(日本では雪渓)にできる割れ目のこと。
ケルン
石塚、石の道しるべのこと。
合目
頂上までを高度による10に区分したもの。同じ山でも馬返しの違いによって合目に違いが出ることがある。
コースサイン
登山コースを示す目印のこと。指導標やペンキマーク、赤布のこと。
コル(サドル)
山と山の稜線上にある窪みの総称で「鞍部」ともいう。
ゴルジュ(のど)
川の両岸が高くそびえ川幅が狭くなったところで「函」ともいう。
さ
ザレ場
ガレ場より堆積物が細かな場所をいう。
サンクラスト
太陽熱の影響で、表面が硬く氷化した積雪のこと。
縦走(じゅうそう)
距離に関係なく、山から山へ稜線通しに歩くこと。
シュカブラ
強風にために雪面上にできる波状の紋様のこと。
森林限界
高木が成育できなくなる標高線で、やがて高山植物帯になる。
スノーブリッジ
雪渓がとけて、橋のような形に残ったものをいう。
さ
スラブ
表面に凹凸がなく、一枚岩でなめらかな岩壁をいう。
雪渓(せっけい)
谷を埋めた雪で、春や夏の頃まで雪の残っているところ。
遡行(そこう)
沢を上流に向かって登ること。
た
出合い
沢と沢の合流する地点のこと。
ティンバーライン
森林限界のこと。
デポ
登山ルートにあらかじめ荷物を置くこと。又登山中に不要荷物を置いて行くこと。
テンパル
テントを張ること。
トカゲ
天気のいい日に外で昼寝をすること。山での日光浴。
徒渉(としょう)
川や沢に橋がないとき、水の中を歩いて対岸に渡ること。
トラバース
山腹を横切る、横断する、横に移動することをいう。
な
滑床(なめどこ)
沢床が一枚岩で、その上を水が滑るように流れているところ。
ニセピーク
頂上と間違えやすい小ピークをいう。
は
バカ尾根
広い尾根または単調な登山道のある尾根をいう。
バットテラス
垂直岩の途中の平坦部をいう。
バットレス
建築用語から来たもので、山頂や稜線に向かって走る岩稜のこと。
ピストン
目的地を往復すること。
ブキ
箸・スプーン・フォークのこと。
ブッシュ
ヤブや林のこと。
ブリザード
地吹雪のこと。
ホワイトアウト
ガスや降雪で大地と空の分別不能状態。
ま
巻き道
頂上に登ることをさけて、山腹をトラバースすること。
水場(みずば)
飲料に適した水の流れや泉の場所のこと。
や
やせ尾根
「ナイフエッジ」
雪代(ゆきしろ)
雪どけ水のこと。
ら
稜線(りょうせん)
山の峰から峰へ続く線のこと。
リングワンデリング
目的地に向かっているはずが、円を描いて彷徨すること。
ルンゼ
岩壁の中で沢状にえぐられた岩溝をいう。尾根状の所は「カンテ」